これまで、省全体にわたり、20種類の農業生産物が商標保護を受けている。特徴的な生産物として、ルクガンのライチ、イェンテの地鶏(hill chicken)、イェンズンの芳香米（fragrant rice）、ダマイのクリーン野菜などは、市場でしっかり評価され、威信を得るとともに高い経済価値をもたらしてきた。

競争性のある生産物の開発

私たちは、年末のある日、ダマイの安全な野菜を生産しているバクザン市内の協同組合を訪問した。そこは、赤らんだ、みずみずしいトマトや他の野菜が織り成す緑の空間だった。農家の人々は、冬季の野菜の手入れや収穫に忙しく立ち回っていた。農場に向かうコンクリートの道は、野菜を搬出するトラックの往来で大変混んでいた。ここから、ダマイの安全野菜は各地へと搬出されるのだ。2013年に創業が始まったばかりにもかかわらず、協同組合は、日々8千トンの野菜や果物を供給している。そのうちの40％は、事務所や工業地帯の社員食堂、あるいはスーパーやトレードセンターに供給されている。「事務所や工業地帯の社員食堂に接触するために、もっとも大切なことは、清潔な生産工程を確保することです。適切な植物保護製品を使用し、相手と合意した内容に適合させることです。」と協同組合の組合長であるルオン・ティ・ディエン氏は語った。安全を確保したプロセスで栽培された野菜は、通常より価格もキログラムあたり1,000から2,000ドン高くなるのが常である。現在、協同組合の生産物は、ハヴィ・クリーン食品市場やバクザンのBigC,あるいは、バクザン市内のいくつかの大規模企業の社員食堂で消費されている。

バンヴェン、スアンルオン（イェンテ）で茶を収穫する農家（写真；ヴィエットフン、バクザン）

バクザンの農業生産物に触れるにあたっては、私たちはルクガンのライチを忘れることはできない。この生産物は、2008年以来、ベトナム知的生産国家事務所による地理的指標物としての登録証を授与されてきた。ルクガン地区は、約17.5千ヘクタールのライチの生産エリアで、毎年100,000トン以上のライチが生産されている。

輸出用野菜の前処理過程（写真；ヴィエトエン、バクザン）

ブロイラー用の鶏を改良したイェンテの地鶏（ヒルチキン）について、この地域は、ベトGAPの標準に合わせて地鶏を交配させ改良するプロジェクトを実施してきた。今日まで、ドンタムコミューンの80軒の農家が年間48万羽の地鶏を生産している。これは、ベトGAPの標準に適合する鶏肉及びブロイラーの1,000トンに匹敵する量である。このおかげもあり、イェンテの地鶏は、商標を獲得し、ハノイやバクニン、フンイェン、ハイフォン、クアンニンなどの市場で受け入れられ消費されている。

バクザン農業生産物の他の目だった点は、ホアンルオン・コミューン（ヒエップホア地区）の小魚fish fingerling とセリ water dropwortの一体生産をあげることができる。これらは、1ヘクタール当たり、年間約5億ドンの収入をもたらしている。セリは、ハノイのいくつかのスーパーで販売されている。省人民委員会、ヒエップホア人民委員会及び農業セクターは、ホアンルオンのセリの施設での生産への投資や新技術の投入による開発を政策として位置づけている。組織や個人に対してはセリ生産エリア拡大にむけ土地のリースを働きかけ、年間収入10億ドン／ヘクタールの収入目標にむけ、生産と消費がうまくかみ合うよう進めることを促している。

よく知られているように、バクザン省全体では、これまで20以上の農業生産物を産出してきた。ライチ、蜂蜜、フィデインのもち米（ルクナム地区）、ディエンザクロ、セリ（ヒエップホア地区）、地鶏（イェンテ地区）、ピーナツ、フクフォア早生ライチ（タンイェン地区）、芳香米（イェンズン地区）、ケー麺、乾燥米菓子（バクザン市）などであり商標保護の登録がされている。こうした競争性のある生産物はそれぞれの地区に高い経済的価値をもたらしてきた。商標をもつ多くの特徴ある生産品は、市場でもしっかりと評価され、名声と高い価値をもたらしている。

多様化する農業生産物消費市場

幾つかの署名されたTTPやEVFTAなどの合意が効力を持ち始めるにともない、近年のASEAN経済共同体の設立は、輸出高を増大させようとする企業にとって絶好の機会となった。この機会を捉え、省内の農業生産物の輸出を主とする多くの企業は、高級志向の市場の基準に適合するよう生産保存ラインの整備に何十億ドンもの投資を行った。結果として、いくつかの農業生産物は、公式に、国内および海外の市場への参入を果たすこととなった。

ハノイのある大規模スーパーで販売されているイェンテの地鶏（写真：クオック・フオン、バクザン紙）

ライチを例にとろう。バクザンのライチは、ハノイや、フエ、ダナン、ホーチミンといった国内近隣省都のほかに、需要の高いアメリカ、オーストラリア、フランス、イギリス、日本、韓国などの市場における消費者の高い評価をうけ、引き続き今後の消費に対する期待も高めた。前年より3,000ドン高い平均15,400ドン／キログラムの値を付けたバクザンのライチは、2014年より2,500万UDドル高い2兆8,950億ドン（1億3,790万USドル相当）の収入をもたらした。これは、輸出価値として前年よりほぼ1,000万ドル高い8,300万USドルに達している。

一方、地域やセクターの人民委員会は、国内外の農業フェアや展示会で、イェンテの地鶏を幅広く紹介した。この商品は、現在では、国内では、BigCやコーポ、インティメックスなど25の有名なスーパーマーケットと30の国内市場で取り扱われるようになっている。

これらの生産品と同様に、ビンミィン協同組合（ヴィエトイェン地区）の豚肉や牛肉なども、すでに大規模食堂で消費されるようになっている。GOC輸出食品加工組合（ランザン地区）やVifoco輸出入協同組合（バクザン市）の加工野菜や果物も日本やロシア、韓国など多くの国々で力強い消費が続いている。

一方、このような優位な展開の反面、バクザンの商標をもつ農業生産品は、省内の大部分の企業の規模が小さく、財政的な制約を抱えているといった点など、多くの困難にも直面している。それゆえ、ある経済専門家は、バクザンの農業生産物の商標を今後においても確実に定着させるには、企業の自助努力に加え、生産段階での有利な条件やコマーシャルの強化といった面において、政府や関係機関の力強い支援が必要不可欠だと考えている。関係機関には、複雑で変化の著しい国際市場で求められる品質強化についても、時宜を得た解決方法を指導することが求められているのである。しかしながら、私たちは、高いポテンシャルをもつ良い生産品、進んだ技術、量と品質の開発といった観点から、特徴的な生産物の投資に集中すべきでもある。さらに、農業の商標価値を改善するためのPRへの適切な投資も必要である。特に、関係協会や協同組合は、農業生産品の消費に対し率先し創造的な取り組みを行うべきである。同時に、関係機関は、国際的統合の流れに沿って有利な条件を作り出し、備えていくためにも、生産や輸出の支援についてチェックを行い、評価した結果に応じて政策を見直していく必要がある。

チャンラン（Protocol Press）

ヴァングエン英訳より浅野訳